勝負から降りる

この記事は「#ひるねひとりアドベントカレンダー2024」の3日目の記事です。

努力は必ず報われるという話をしたが、そうでもないこともある。ときには勝負から降りるのも大事。努力して勝ち得たものだとしても、それを維持するのは難しい。勝つ才能はあっても、それを維持する才能はないかもしれない。そういうときなんかは、降りちゃえばいい。

先天性口唇口蓋裂という病気で生まれたわたしは、なんか、中学2年生のころからかな、明確に「ブス」と言われるようになったし、それ以外にもそんなような扱いは受けた。また賢いのがさ、靴に画鋲を入れるとかそういうことはしないの。先生の前ではおとなしいやつが、先生のいないところだとわたしにとって嫌なことを言う。あ、なんか思い出してだめになってきた。まあそのへんの詳細は今回のエントリの本質じゃないから省くとして。つまり、ブスのレッテルを貼られたわたしは、恋愛市場でも負け組になったというわけ。

わたしってブスなんだな〜とおもいながら、まあ恋愛はしてきた。彼氏がいたこともある。結婚願望があったから、マッチングアプリにいそしんでた時期もある。いま考えるとおぞましいけど。そうやって恋愛市場を渡りあるいてきて、自分の相対的価値を知るのね。あ、わたしって、下のほうだ、ってね。中学のときのあいつらはこういうことを言いたかったのか、とおもった。
で、なんか遅れて響いてくるんよね、「ブス」って言われたことが。あいつらが言ってたことって間違いじゃなかったのかも、やだな〜って、考えがもうぐるぐるして。口唇口蓋裂で手術は8回して、お医者的には完治ということになって治療は終わったけど、わたし的には受け口がまだ気になるし、鼻がぼてっとしてるのも気になるし、、、で、美容整形も考えたけど、現実的にお金がなくて無理。体力がなかったから、がんばって稼ぐということも無理。じゃあわたしは、一生この顔なんだな〜とおもったあるときに、マッチングアプリの初会合でドタキャンされて。なんかその日は、冬で。ドタキャンも続いてたし。もういいや〜ってなって、恋愛も結婚もやめた。人はそれを諦めたと形容するかもしれないけど、わたしにとってはちょっと違う。やめた。本当にすっぱり、これ以上傷つくのはやめよう、とおもった。具体的には、わたしを傷つける過去のことばをどうしても思い出しちゃったときは、相手にちょっとしたのろいをかけることにしたこと。マッチングアプリはやめて、わたしの恋愛対象であるところの男性をそういう目で見ないこと、またそういう目で自分は見られなければならないとおもわないこと。モテとか流行とか、人からの評価とか、他人を軸にしないこと、自分の軸は自分で持つこと。要は、恋愛市場から完全撤退した。それが2年前の冬かな。それからの人生はすごくたのしい。自分で自分をつくっていいから。モテなければならないみたいな価値観がもう刷りこまれてたようにおもう。それがなくなって、本来の自分を取りもどした。だからわたしは今、なんにでもなれる!ってかんじです。

勝負から降りるのは、逃げじゃない。その道がわたしの道じゃなかったと気づいたから、外れるだけ。外れた先になんにもなくても、この先の道をつくるのはわたし自身だとおもう。では。